現場監督に必須の「段取り力」を身につけるためのポイント

現場監督に必須の「段取り力」を身につけるためのポイント

自分では完璧に準備していたはずなのに、いざ工事が始まってみると気づいていなかったこと、計画していなかった問題が次々に出てきてしまう。
重機の能力が思っていたものではなかったり、業者の搬入がかぶってしまったり、作業員の動線をうまく考慮していなかったり、片付けの時間を計算に入れてなかったり、資材のチェックを怠っていたり。
こんな経験は、現場監督ならほとんどの人が経験したことがあることと思います。
現場監督が事前の段取りを間違えると、最悪の場合、作業員さんを帰さざるを得ない状況になってしまいます。
要領が悪い…現場監督は、こんなレッテルを貼られてしまうと、仕事が辛くなり、辞めたいと思ってしまう原因になりかねません。
自分ではなかなか気づきにくい「要領の悪さ」を克服し、段取り力のある現場監督を目指しましょう。

現場監督に段取り力が必要な理由

段取りは、現場監督の最重要の仕事ともいえるものです。
住宅の建設は、非常に多くの職人さんが出入りして、地盤補強・基礎工事・大工工事といった工程をこなしていくことになりますが、それぞれの職人さんに、いつ現場に入るか、いつまでに終わらせなければならないかということを指示することが段取りなのです。
ひとつの作業が遅れてしまうと、次の工程の職人さんの予定を変更しなければなりません。職人さんもいくつもの現場を掛け持ちしていますので、急に変更を依頼しても対応できないこともあります。そのように工程をうまく調整できないと、現場で異なる工程の職人さんが鉢合わせして、お叱りを受けてしまうことになりかねません。
100%計画していた工程通りに工事が進まないことも、実際にはよくあります。よく言われる「段取り八分」というのは、80%を達成することができたら、まず合格といっていいということです。残りの20%は、予想外、予定外のトラブルへの対応などにあてることになります。
80%を達成するためには、100%達成できると思える計画である必要があります。最初から80%を目指していたら、達成度はもっと下がってしまうでしょう。そのような中途半端な計画は、基本的なことを見落としているかもしれません。

こうした段取り力を普段から鍛えるためには、どうしたらいいのでしょうか。
さて、ここであなたの生活を振り返ってみましょう。あなたは段取りのよい生活をしているでしょうか。
段取り力は、ものごとの順序と方法を定めて、工夫を凝らすことによって身につきます。事前に準備をして、順序立てて、タイミングを見計らって仕事に向かえば、短時間、かつ正確に片付けることができるのです。
段取りがよくなれば、自分の時間も増え、人生が豊かになることでしょう。

段取り力を高めるポイント

常に目的を意識する

要領よく働いている人は、常にその仕事の目的を意識しています。仕事に熱中するあまり、いつのまにか目的から外れてしまうことがあります。本来の目的とは関係のないことで悩み、労力を費やしてしまうと、なかなか目的は達成できません。
また、段取りが悪い人は、自分が思っている仕事の進め方に固執する傾向があります。何が重要なのかを問いかけ、柔軟さを身につければ、目的を達成するためのプロセスや方法を変更することには抵抗がないはずです。
仕事のしかたは、その場の環境や状況によって変化するものです。かたくなにやり方を曲げないでいることは、あなたにとっても、周りの人にとっても良くないことかもしれないのです。

自分の能力を把握する

段取りよく仕事をこなすためには、自分に何ができるのかというかということをきちんと把握することが必要です。
その仕事を実施するための知識や経験、スキルをあなたは持っているでしょうか。
無理をすると、必ずどこかにしわよせが来てしまいます。
それが足りないのに、仕事を引き受けてしまっているのであれば、その仕事を完遂できないのは当然のことかもしれません。難しい仕事をやり遂げて成長することも大切ですが、断りづらくて引き受けてしまった仕事であれば、失敗してしまう前に、謙遜なしで自分の能力を見つめ直しましょう。
たとえば、「ちょっと残業すれば」などという感覚も、無理につながります。いつの間にか長時間残業が当たり前になってしまい、体調を崩してしまったりすることもあるかもしれません。
段取りがよくない状態というのは、つねに仕事に追われてしまっている状態です。納期に追われ、仕事がたまり、目の前の仕事から片付けていくような状態は、とても段取りがいいとは言えません。
優先順位をはっきりさせるだけでも、仕事がスムーズに流れ出します。
自分がもっている力を把握し、それを100%発揮できるように仕事をくみたてるのが、段取りの向上につながります。

似た作業を連続でこなす

仕事をするときは、その仕事に似た仕事がないかと考えるくせをつけましょう。
たとえば届いたメールに返事したり、不在電話に折り返すこと。
報告書を書くこと。
そのような同じような性質の作業は、まとめて連続して行うのが効率的です。
連続して同じような作業を続ければ、機械的に処理できるので、作業時間が短縮されるのです。
ホチキス止めした書類を100人に郵送するという作業があったとすると、段取りよく進められる人は、書類のホチキスどめ、それを封筒に入れる作業、切手を貼る作業を順番に行っていきます。これを1人分ずつホチキスでとめて封筒に入れ、切手を貼るという作業を100回繰り返していたら、かなり効率が悪いことはわかりますよね。
同じ仕事を連続して行うと、流れに慣れ、集中力と勢いがつくことで、スムーズに行うことができ、ひとつひとつの作業のクオリティも上がるのです。
また、このとき、休憩を入れると、せっかくの集中がとぎれてしまい、連続で作業している意味がなくなってしまいます。

仕事の優先順位を決める

工程や〆切的にはどちらから始めてもいい仕事がふたつあり、一方が好きな仕事(もしくは簡単な仕事)、もう一方がイヤな仕事(もしくは面倒な仕事)だったら、あなたはどちらに先に手をつけますか。
好きな仕事は、短期間で片づけることができます。それに対して、イヤな仕事、面倒な仕事は時間がかかります。
もし後者に先に手をつけると、好きな仕事をする時間がなくなってしまうかもしれませんね。それに、イヤな仕事はえてして先延ばしにしても良いことがないものです。対応が遅くと問題になるようなことは先に片づけるべきでしょう。
これは、テスト問題を解くときに、簡単な問題と難しい問題のどちらから手をつけるかということに似ています。良い成績をとるためのコツは、簡単な問題から解くことです。
難しい問題を先に解こうとすると、簡単な問題を解く時間がなくなってしまう可能性があります。また、簡単な問題であっても、答えていくことで答案が埋まっていく達成感を感じることになり、精神的な余裕も生まれるでしょう。
仕事もこれと同じといってもいいでしょう。

一歩先を予測して仕事をする

目の前のものから片づけようとする人は、仕事の全体像がイメージできていないことがあります。
作業することによる結果をイメージし、そこから逆算して優先順位を決めることができなければ、段取りはよくなりません。

トラブルを予想して仕事をする

仕事はすべて順調にいくとはかぎりません。
本当に段取りよくするためには、むしろどこかでトラブルが起こることを前提にするくらいがちょうどいいでしょう。
仕事はひとりで行うものではなく、必ずチームや別の誰かの仕事が関係しています。そのようなチームプレーでは、どこかでトラブルが発生することは決して珍しいことではありません。
トラブルが発生すると予定は崩れてしまいますが、そのことをあらかじめ予想して対策を立てておけば、そのロスは最小限で済みます。

現場監督に必須の「段取り力」を身につけるためのポイント まとめ

いかがでしたか。
段取りがよく仕事ができれば、職人さんたちもストレスなく、工期を守って仕事ができることにつながりますので、きっちりと現場を仕切れる現場監督になれます。
「この監督となら良い現場ができそうだ」と職人さんに慕われる現場監督を目指しましょう!