三重県の子育て世代にお値打ち高級住宅を提供している工務店、株式会社サティスホームで現場監督も務めている小林大将さんからの新米現場監督へのアドバイスを紹介します。
どの言葉も、日々現場で悩まれている現場監督さん、これから現場監督になろうと思っている人にとって、参考になるものばかりですので、ぜひ熟読ください!
生年月日 | 1982年5月4日 | |
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住所 | 四日市市八王子町 | |
趣味 | サッカー、ゴルフ | |
好きな食べ物 | からあげ | |
現場監督歴 | 11年 |
僕は四日市の出身ですが、高校の建築科を出て、建築専門学校を卒業し、ビルやマンションの型枠を作る会社で2年ほど働いていました。楽しい仕事ではありましたが、建物が完成しても誰かが喜ぶということがなく、次の仕事に流れてくだけで、やりがいを感じられませんでした。マンションや工場のお施主様は企業ですので、何か楽しさが足りなかった。誰かに喜んでもらえるということを実感できるのはやはり住宅の仕事と思って、高校も一緒だった女性の現場監督の紹介でサティスホームに入ったわけです。今、11年ぐらいです。
初めは監督の見習いで、3か月目くらいに初めて現場を持たせてもらいました。最初のお施主様は、30代前半くらいで、一番家づくりに興味がある、子育て世代のご家族で、結構こだわりや要望がたくさんありました。
お引き渡しをした時は、バタバタというか、無事にお引渡しすることだけで精一杯でした。ただ気持ちだけは伝わって、「ありがとう」と言ってもらえましたし、いまでも何かあったら電話いただいたりすることがあります。やっぱり一番思い入れはありますね。
家ができると、つい自慢してしまいます。家族を乗せて地元を車で走っていると、自分が建てた家がいたるところにありますから、子どもや家族に、「お父さんが監督したんだぜ」と自慢がしています。友達と飲みに行ったり遊びに行ったりしても、ついつい仕事の自慢をするので、「あんたは好きな仕事につけてよかったね」と皆羨ましがっていると思います。
僕はずっと現場畑です。お施主様とのつながりより、技術者として現場監督がどう立つべきかを考えると、やはり法的な知識、技術的な知識、圧倒的な知識ですよね。喋らなくても、いい家を建てればいい、というぐらいに徹する。それを貫ける面白さがありますね。
経営の勉強ができることです。現場監督になると、リーダーシップもつきますし、職人さんやお客様やスタッフへの話し方なども勉強になります。予算内に収めるとか、利益を確保するといったお金のことも学びます。そう考えると、全体的に経営の練習、勉強になっていると思います。
お施主様から2千万からのお金をお預かりして家を建てさせていただくという仕事には、責任の重たさ、プレッシャーを感じますが、それはいいことだと思います。
家を建てるのは一生に一回で、やり直しがききません。結婚する人の3割は離婚するといわれますが、家を2回建てる人なんて普通はいませんから、結婚よりも重いわけです。
ローンを35年払うということは、一生ということですよ。ですから、私たちは、生涯のパートナーとして選んでもらったようなものです。いわば命を担保に入れて僕らを選んでくれているわけです。大変なことであり、その大変さを意識して重く捉えるべきだと思います。
普通のことが最低限レベル、ということでしょうか。何も考えずに玄関に入って、ドアを開けて、リビングに行って、何も違和感がないというのが、普通に生活するレベル。そこに何か一つ「こんなのがあった」と思えることをプラスできるように考える。
例えば電気コンセントやスイッチ一つにしても、図面の上ではその場所に付けるだけですが、点けるときだけでなく、切るときのことまでちゃんと考えているか。靴を履いてからスイッチを切ろうとして「あれ、遠い」とか、お施主様が気づかないそういうこともちゃんと指摘して、「絶対にここにスイッチを付けたほうがいいですよ」と言う。豪華なことではなく、小さなことでも、生活上の便利を追求してアドバイスをさせていただく。
例えば、猫などのペットを飼っているご家族だったら、その猫ちゃんの特性をお施主様から聞いて、棚を付けるときに、猫が寝られるような穴を開けておいて、喜んでいただくとか、お施主様の何百万通りの生活スタイルを勉強することを心がけています。
監督の時には、本屋さんで、一通りの建築雑誌を全部見ていました。
お施主様のリクエストの風潮は変わってきていると思います。インターネットで調べていたりするので、僕らでも初めて聞く材料、扱ったことない材料についてご質問をいただいたりするので、やはり知識は大事だなと思います。
大手さんのホームページで設備などはよく見ています。大手さんたちの先端的な設備や、今後の流行り、動きなどはつかむようにしていれば、そんな感じはどうですかとお施主様に提案できたりします。
例えばアルミサッシの会社のホームページを見ると、サッシというのは住宅を包む一つの具材ですから、外側からの影響についての勉強になる。音や断熱、空気環境など様々な問題が全部出てきます。
例えば、シックな色が好きだというお施主様がいたとします。シックな色だけでは、人によってイメージが絶対に違いますから、「こういう感じですか」と写真を見ていただいたりして、きちんと要望を聞く。時には、シックな色という言葉で意思疎通するための資料を作ってみてもらい、それでご家族の共通の認識を確認してもらったり、そんなことが大事かなと思って、気をつけたり工夫したりしています。
職人さんより現場監督のほうが年下であっても、お施主様に対する思いはみんな一緒で、昔から変わっていません。それはもう身体に染みついています。
うちでは年に一度サンタクロースの恰好をしてお施主様の家を回るのですが、大工さんも一緒にサンタの恰好をして喜んでいただいたりしています。コミュニケーションでの難しさはなく、どちらかといえば知識をどんどん教えてもらう関係ですね。
職人さんは、良い仕事をする監督についてきたがります。それで僕が心がけているのは、職人さんがミスらないように、これは大丈夫、これは気をつけないといけない、ここは盲点だよ、と教えてあげることです。すると「なるほど、監督のいう通りやな、ミスなくできたな、成功したな、あいつのおかげやな」と思われて、もう黙っていてもコミュニケーションができるようになります。「きれいに作ってください」ではなく、「ここのところをミスったらだめだよ」と教えてあげると、「あいつのリードのとおりになった」となる。
職人さんの次の仕事があるかどうかは、聞いてあげる。職人さんはサラリーマンじゃないから、先まで仕事が決まっていることがない。次の仕事を聞いてあげることによって、自分たちの生活を心配してくれていると思われて、「本当の仲間」という意識ができる。監督の立場からいうと、最大のコミュニケーションは相手の心配をしてやることだと思います。
仕事以外のところでも互いのことを気にかけたりしていますね。家族や子どものことを大丈夫かなとか考えるくらい、みんなを互いに思い合っています。その延長で、仕事も助けてくれるとか、助け合うことにもつながっています。
夢の中でカナヅチをふるっていることがあります。
スケール。ノートとペンは絶対。あとはカメラ、というか携帯。
現場監督は手が届かない難しい仕事と思われがちですが、実際は、建築技術とか勉強してきたことよりも、ものを作る上で工夫して流れが規格化されたというだけに過ぎません。ものを作ったり、何かを動かしていく気持ちさえあれば、絶対にできる商売です。難しく考えず、ぜひ、「ものづくりは楽しい」という気持ちで入って、どんどん追及して、誇りを持て、自己存在感を実感できる職業です。おすすめします。
監督になれれば、時間・品質・コスト・人のマネジメントができるようになるということですから、いろんなことができるようになります。仕事のすべての要素が集約されている職業だということができます。