デキるコンサルタントなら覚えておきたいアイスブレイクの進め方

デキるコンサルタントなら覚えておきたいアイスブレイクの進め方

アイスブレイクはビジネスの潤滑油

ファシリテーションに役立つ5つのメソッド」で、お施主様の今後の生活を決める家族会議をうまく進めるためのひとつの方法として、「アイスブレイク」を紹介しました。
アイスブレイクは、ファシリテーションの最初の難関となる、誰もが発言しやすい環境づくりに役立ちます。
会議の参加者が、相手を大切に思うあまりに気を遣いすぎてしまったりするようなときに、このアイスブレイクを使って、その場の目に見えない緊張を解きほぐし、気軽に話し合える雰囲気を作り出すことができます。
アイスブレイクをサラッと使いこなすことができれば、かたい雰囲気をほぐして、場を和らげるだけでなく、その場にいる人全員にあなた自身の存在感を強く印象づけることもできるでしょう。
アイスブレイクは、広くビジネスに応用できます。
大勢でアイディアを出し合うミーティングや、参加者の意見が重要になる会議、商談の成否を決める プレゼンテーション、多数の出席者を相手に講義をおこなう研修など、様々な場面で、とても重要な役割を果たしてくれます。プレゼンに勝てる、会議で成果を出せる、出会ったばかりの人たちとあっという間に関係を築くことができる……まさにビジネスにおける潤滑油のような存在なのです。

アイスブレイクには、決まったルールや、やり方があるわけでもなく、そんなに難しく考える必要はないでしょう。とはいえ、これまで一度もアイスブレイクを試したことがない…という方にとっては、まだぴんとこない部分もあるかもしれません。
そこで、今回は、明日からすぐにでも使えて、参加者全員が一緒に楽しめるアイスブレイクの例を、いくつかランダムにご紹介します。
目の前にある「ガチガチに凍って固まった氷」、ぜひこのネタで溶かしてみてください。

すぐに使えて、参加者全員が一緒に楽しめるアイスブレイクの例

だんだん長くなる自己紹介

初対面の人が多い会議では、名刺交換からスタートすることになりますが、名刺をチラチラ見ながら話し合うのでは、なかなか緊張もほぐれませんね。でも、逆に考えてみれば、初対面という機会は一度しかありません。これを逆手にとったアイスブレイクです。

  1. 最初の人が名前を言い、自己紹介します。
  2. 2番目の人が自己紹介するときには、「〇〇さんの隣の△△です」と前の人の名前を復唱します。
  3. 3番目の人は、最初の人と2番目の人の名前を復唱して自己紹介をします。「〇〇さんの隣の△△の隣の□□です」

自分の番が回ってきたら、それまでに自己紹介した人の名前を全員言わなければなりません。みんな必死に名前を覚えようとするので、確実に名前が記憶に残ることでしょう。
名前だけでなく、出身地や趣味などでを言ってもらうのもいいかもしれません。

実は…で始まる自己紹介

顔と名前はわかっているけどお互いのことはあまり知らない相手との会議で使えるアイスブレイクです。

  1. 初対面ではありませんが、あえて自己紹介してもらう。
  2. ただし、「実は…」で始まる一言を入れてもらう。

これだけですが、ちょっとしたひねりを加えるだけで、参加者が集中してくれるようになります。何でもないことに「実は…」をつけるだけで面白く感じたり、意外な自己紹介が飛び出したり、笑いも生まれやすくなります。

インタビュー

まるで決勝戦後のスポーツ記者のようになりきって、相手が話したくなるようなインタビューをするアイスブレイクです。

  1. 2人1組になってもらう。1人は聞き手、1人は話し手(途中で交代)。
  2. 「自分が一番活躍したとき」のことを、あたかもMVPへのヒーローインタビューのようにどんどん盛り上げて聞き出していく。

ポイントは、聞き手側の「話を引き出す力」にありますので、質問が苦手な方のために、「いつ?」「どうして?」「どうなった?」など、質問のキーワードをホワイトボードに書いておくとスムーズに進めることができるでしょう。

妄想自己紹介

自己紹介系をもうひとつ。意外な人となりが見えてくるアイスブレイクです。

  1. 「もしも…だったら」というお題をいくつか提示し、妄想を働かせて回答を紙に書いてもらいます。
  2. 全員が記入できたら、順に発表していきます。

お題はこんな感じのものがいいでしょう。

  • 透明人間になったら何をする?
  • 短所やコンプレックスをなくすことができたら、何をなくす?
  • 何でも好きなものをごちそうすると言われたら、何をリクエストする?
  • 今ここに宇宙人が来たら、どんな対応をする?
  • 次の誕生日にほしいプレゼントは?
  • ノーベル賞を授与されるなら、何賞がほしい?(現実にない賞でも可)
  • タイムマシンで行ってみたいところは?
  • 宝くじで 5 億円が当たったらどうする?

現実の話ではないので、話の自由度が高まります。発表してもらうときには、「どうしてそう思うのか」ということや、それにまつわるエピソードなども盛り込むといいでしょう。

指の体操

簡単そうでなかなか難しい指の体操です。参加者が眠そうな顔をしているようなときにぴったりです。

  1. 握った両手を前に出し、一方の手で親指を立て、もう一方の手で小指を出す。
  2. リズムをつけて、左右交互に親指と小指を出したり引っこめたりする。

自分ができないとあまり決まりませんので、あらかじめ練習しておきましょう。笑いが起きたら成功です。再び眠気に襲われる前に会議を始めましょう。

流れ星

楽しいだけでなく、ちょっと深く考えさせるアイスブレイクです。

  1. 紙に「流れ星」「月」「木」を順番に描いてもらう。
  2. 最後にみんなで見せ合う。

たったこれだけですが、見せ合ってみると、同じ「流れ星」でも、人によって全然違うので、驚かされます。人の主観や捉え方、感じ方などの違いを、端的に感覚で理解できるという効果があります。コミュニケーションの難しさや、同じ基準を使って説明することの重要性を認識してもらうきっかけになるアイスブレイクです。

1円玉の大きさは?(学び・気づき系)

これまで6つのアイスブレイクのネタを紹介してきましたが、いよいよ最後の7つ目です。ここでご紹介するのも、盛り上がるだけでなく、ちょっと考えさせられる系のアイスブレイクです。

  1. 実物を見ずに「1円玉の大きさの円」を紙に描いてもらう。
  2. 本物の1円玉を出し、答え合わせをする。

こちらも、見せ合ったときに盛り上がります。普段目にしているでも、必ずしも正しく知っているわけではないということを気づかせてくれます。普段当たり前と思っていることを見直すきっかけになります。

アイスブレイクを行う前に

アイスブレイクが成功するかどうかは、ファシリテーターであるあなたの進め方次第です。次のようなことに注意しましょう。

練習して自信をつけておく
テンポがとても大事です。面白かった!と印象に残るアイスブレイクを目指しましょう。そのためには、恥ずかしがらずに率先して動くのがいいでしょう。前日のうちに家族を相手にやってみるのもいいかもしれません。

説明と進め方に気をつける
いくら優れたアイスブレイクでも、参加者にちゃんと理解してもらえなければうまくいきません。デモンストレーション、ホワイトボードなどでの説明など、わかりやすい説明を心がけましょう。
また、予想外の展開や、参加者の発言がすべってしまうこともあるかもしれません。小さなことは根にもたず、流れを止めてしまわないように進めましょう。

あくまでも導入であることを忘れずに
肝心の会議そのものの時間が足りなくなってしまうのは本末転倒です。だらだらしてしまわないように、タイムマネジメントにしっかり気を配りましょう。タイマーを活用したり、タイムキーパーを決めておくといいでしょう。
アイスブレイクは、あくまで会議のための「導入」です。アイスブレイクだけで参加者が疲れてしまうことのないように。

用意すると便利な道具


「書く」という作業によって、より能動的な参加者がかかわることができるようになります。A 4 サイズのコピー用紙や、場合によっては大きな模造紙も用意して、参加者の意見などを可視化するといいでしょう。

筆記用具
参加者に記入してもらうのに使います。普通のボールペンなどでは、発表の際に見えにくいので、太めのマーカーがお勧めです。

キッチンタイマー
制限時間のあるアイスブレイクでは必須です。また、ダラダラ進めないように、タイムキーパー代わりにも使えます。

デキるコンサルタントなら覚えておきたいアイスブレイクの進め方 まとめ

いかがでしたか?
社内外ともに交流の幅が広がってくるコンサルタントとしては、こうした「つかみのネタ」があると何かと便利です。

ただし、会議の場が緊張している時などに使うと有効なアイスブレイクですが、その場を和めば何でもいいというものでもありません。
忙しい中、わざわざ時間をつくって参加してくれているような参加者や、気難しい参加者、役職が上の上司などがいる場合もあるでしょう。
どんなアイスブレイクが適切かということは、あくまでもTPOをわきまえて判断する必要があります。

ビジネスを進めるには、人と人とのコミュニケーションが不可欠です。
斬新なアイディアや本音を聞き出し、それを成果につなげていくためには、一緒に仕事をする人々の緊張をほぐし、話しやすい雰囲気をつくることはとても大切なのです。
とくに初対面の人と話すのに、すぐに心を開いてくれる人はなかなかいないでしょう。
ビジネスにおけるあらゆる場面で、ぜひこのアイスブレイクの考え方や方法を参考にしてみてください。